銀杏(ぎんなん)は、犬にとって危険な食べ物です。なぜ危険なのか、あやまって食べてしまったときの対処法をご紹介します。
この記事の概要
なぜ、犬が銀杏(ぎんなん)を食べたら危険なの?

銀杏は中毒症状を引き起こす原因となります。
まず、中毒とは毒性を持つ物質が許容量を超えて体内に取り込まれることにより、生体の正常な機能が妨げられてしまうことを言います。 銀杏(ぎんなん)は美味しい秋の味覚ですが、そもそもたくさん食べる食べ方をする食材ではないと思います。 しかし大量に食べると人間でも中毒症状を引き起こしてしまう場合があり、犬が食べる食材としては危険性がとても高いといえます。
中毒を引き起こしてしまう仕組み
銀杏にはギンコトキシン(自然のイチョウで生成される神経毒 )という成分が含まれています。このギンコトキシンが人間や犬を含む哺乳類持っているピリドキサールキナーゼという酵素の活性化を阻害します。 この酵素はビタミンの活性化に関連しているので、体内のビタミンの活性化を阻害してしまいます。それに伴ってGABA(キャバ)興奮を抑える働きをする神経伝達物質の体内合成を妨げることとなります。 そのために、神経伝達物質の興奮と抑制のバランスが崩れてしまい、痙攣(けいれん)やてんかんの症状をひきおこしてしまいます。 もう一度かんたんにまとめます。
銀杏中毒の報告からみえること
銀杏中毒は太平洋戦争の前後に中毒症状の報告が多いといわれています。 なかでも報告数の70%が5歳未満の子供 大量に摂取したために死に至ったという報告も… 大人の場合はかなりの数を食べなければ問題がないといわれていますが、1日5 – 6粒程度でも中毒になることがあるという報告もあります。 実際に獣医さんも銀杏を犬へ与えてはいけない食べ物のリストに入れています。
犬の銀杏中毒の症状
- 嘔吐
- 下痢
- 呼吸困難
- けいれん
犬が食べてしまう原因
- 食事の支度中に落としてしまう
- テーブルにおいてあるお皿をいたずらして食べてしまう。
- かわいいうちの子に秋の味覚を味わせたくてついひと口あげた。
- 散歩中に落ちてるイチョウの実に興味をもって思わず、パクっと口に入れてしまった。
無理やり吐かせようとするのはさらに危険
銀杏中毒に関して知識を得ていると、万が一愛犬が銀杏(ぎんなん)を口にしているのをみてしまったらパニックになってしまうと思います。 まだ飲み込む前であればすぐに口から取り出せます。しかしの飲み込んでしまい時間がたってしまっている場合など、無理に吐き戻させることは、愛犬を興奮させ、負担をかけてしまいます。 一般的に、飲みこんでから2時間ほどであれば吐き戻させるチャンスと言われています。 未消化の物を吐き出させるやり方が2つあります。
銀杏(ぎんなん)を食べてしまった場合の対処法

落ち着かせる
これはどちらかといえば、やはり私たち飼い主がいちばん気をつけたいことです。私たちが慌ててパニックになれば愛犬も同じ状態になります。 まず、口の中に残っているのか?それとも飲み込んでしまっているのか確認してください。そして口の中に残っているようであれば速やかに取り除きます。
獣医師へ連絡
なるべく早くかかりつけの獣医さんへ連絡してください。 夜間や休診日、季節休業などですぐにつながらないと不安になると思います。 かかりつけの医院を普段から2つ3つ作っておくとよいでしょう。 また、都心などでは夜間や休日に対応してくれている病院もありますので自分が住んでいる地域の救急病院は確認しておくと安心です。 獣医師と連絡がついたら指示の通りに対応します。
経過観察をおこたらない
銀杏の中毒症状は人間であれば発症までに1時間〜12時間かかり、中毒症状が24時間ほど続くと言われています。 発症までの時間の開きがありますので1日〜2日間はいつもより注意深く愛犬を見守ってあげて下さい。
もしかして食べちゃったかも…と思った時
実際に銀杏を食べたところを見ていなくても、「口に入れてしまったかもしれない…」と心当たりがあれば、かかりつけの獣医師へ連絡して、必要であれば病院へ連れて行きましょう。 病院へ連れて行く際は、下記のポイントを伝えてます。
- いつ
- どのくらい食べたか
- 食べてからどのくらい時間が経ったか
まとめ
銀杏(ぎんなん)は、独特の風味と美しい色で秋の食卓を豊かにしてくれる食材ですね。茶碗蒸しには入っていてほしいし、あぶってお塩でいただいたら美味しいおつまみです。 銀杏には人間を含む哺乳類に作用する神経毒が含まれています。加熱することで作用は穏やかになると言われていますが、うっかり愛犬が口にしたら大変なことになりかねない食材です。 また、クセのある食材なので飼い主が故意に与えることはないかと思います。実際に犬が銀杏を食べてしまうことは、お酒の席で仲良くなろうと犬に与えてしまう…とか、お料理中の事故などかなり特殊な状況だと思います。 万が一食べてしまった時パニックになったり自分を責めないで下さい。 おちついて冷静に対処しましょう。 クリスマスの時期に気になる植物については【愛犬と過ごすクリスマス】ポインセチアを飾る場所には要注意! をご覧ください。
【参考】 ギンコトキシン イチョウ 北海道医療大学薬学部 – 銀杏食中毒とは dogoo.com